飲食店におけるリピーター獲得は重要だと言われていますが、それはどれほど重要なのか?売上にはどのような影響があるのか?等の詳細まで知らない方もいるかも知れません。
そこで今回は、今まで曖昧だった「リピーター(常連客)」の定義から説明した上で、飲食店におけるリピーター獲得の重要性、獲得方法を解説していきます。
新規顧客に対するアプローチ方法も随所で記載しているため、ぜひ自店舗の集客施策の参考にしてみてください。
リピーター(常連客)の定義は?
なぜ今更、リピーターや常連客を改めて定義付けする必要があるのかと言うと、定義が定まっておらず曖昧に使用されている現状があるからです。
リピーターは日本語で言うと常連客です。リピーター(常連)とは、店舗に来店するお客様のうち、繰り返し来店されるお客様のことを指します。
念の為に、常連という言葉を辞書で引いてみたところ、
ある場所にいつも集まっている人。特に、興行場、酒場などでいつも来るなじみの客。
飲食店などに、いつも来る客。
よく買ってくれたり、利用してくれたりする、事業主にとってありがたい客。
という説明が書かれておりました。予想通り、非常に曖昧な感じの説明でした。
では、リピーター(常連)は何回来店した段階でリピーター(常連)と呼べるのでしょうか?
個人的に飲食店経営者の方数名に「リピーター(常連)の定義はどうですか?」という質問をしてみました。
ある店舗では「月に1回来たら」と答え、またある店舗では、「週に1回来たら」と答えました。
他にも「2回目の来店から」と言う回答もありました。逆に「回数ではなく、自分が覚えてるかどうか?」と言う回答もありました。
こちらも予想通り、個人の感覚的な部分が強く、判断基準が属人化しているように思います。
まずは「リピーター(常連)」という言葉が、人によって解釈が変わる言葉であることを知っておくことが重要です。
そして、リピーター獲得施策を掲げる際には、店舗や関係者が共通の認識を持てるように定義をし直すことがポイントとなります。
飲食店に関わらずどんな商売をしていても、成功を支えるためにリピーター(常連客)を大切にすることが重要ということは言うまでもないことだと思いますが、そのリピーター(常連客)の定義が曖昧なままだと成功の確率を上げることができないのでは無いかと思い、このコラムを書いている次第です。
そこで、ここではリピーター(常連)の定義を、「定期的に来てくれるお客様」とし、この定期的と言う部分に関しては、業態や店舗によって変わってくるかと思いますので、自店の状況に合わせて、月に1度とか、2週間に1度、1週間に1度などに当てはめてみるとより解像度が上がってくると思います。
リピート率とリピーター率
またまた少し堅苦しいですが、こちらも定義の確認からします。
私たちは「リピート率」と「リピーター率」のふたつの指標があると考えています。
前者は新規顧客が再来店した割合を指します。
一方で「リピーター率」は、総顧客数のうちリピーターがどのくらい存在するかを示した値です。
リピート率は「新規顧客数」で割るのに対し、リピーター率は「総顧客数」で割って値を出します。
私たちは「リピート率」ではなく「リピーター率」をより重視しています。
リピート率が高くても、リピーターの絶対数が少なければ集客が安定しているとは言い難いと考えているからです。
お客さんの何人がリピーターなのかを測る「リピーター率」を見ながら集客戦略を組み立ててみてください。
飲食店がリピーターを獲得すべき理由
では、ここからは、何故飲食店がリピーターを獲得すべきかを解説したいと思います。
売上アップにはリピーターの存在は必要不可欠
売上は「客数 × 客単価」ですから、売上アップのためには「客数」「客単価」のいずれか、または両方を伸ばさねばなりません。
新規客に比べて集客コストが低く、しかも、新規客を連れてきてくれることもあるのがリピート客です。
尚且つ、リピート客は「客単価」も高い場合が多いのです。
そういった理由からリピーターの絶対数を増やすことが、売上の安定とアップに繋がるのです。こうした意味でもリピート率と同時に「リピーター率」もまた重要になってきます。
「全体の7割がリピーター」というのが 理想の割合とされています。
リピート客ほど集客コストは低い
新規顧客の獲得コストは既存客(=リピート客)の5倍以上かかると言われています。
一方で、リピート客はリピート回数が多ければ多いほど集客コストは低く、ある店舗の統計ですが、
初来店されたお客様が2度目も来店した確率:23%
2度目来店されたお客様が3度目も来店した確率:74%
3度目来店されたお客様が4度目も来店した確率:90%
そのあと、5回来店した方も、6回来店した方も、90%を超え続けた。
と言う数字があります。
いかにリピート客が大事なのか、実感できる数字ですね。
この結果からわかることは、「初来店のお客様が3回来店するための”仕組み”」があれば常連化は成功したといっても過言ではないでしょう。
なのでここから逆算していくと、どうやって3回来てもらうか?と、どうやって2回来てもらうか?を追求することが常連化の鍵になってきます。
効率よく売上を上げる近道は、リピート客を増やし、リピートの頻度を上げて常連化することなのです。
持続性がある
メディアやSNSなどで取り上げられて一時的に話題となることは新規集客の観点では店舗にとっては間違いなく良いことですが、それは当然永遠に続くわけではないので、一時的な売上増加は見込めるものの、中長期的な売上向上としては期待できません。
一方でリピーター(常連客)はメディアや話題・流行など関係なく、安定的に来店してくれる貴重な存在です。持続的に売上を確保するには、「何度も通ってくれるリピーター(常連客)をいかに獲得し、リピート頻度を高めていくか」を考えることが重要といえるでしょう。
日本の人口問題と飲食店を取り巻く環境
これから日本は人口が減っていくことが決まっています。全体のパイ自体が先細っていく状況では、新規集客頼みの限界が見えています。
またフードコストや人件費でFLコスト比率が圧迫します。今までと同じやり方が通用しなくなってくる環境に身を置いています。
これらの打開策としては生産性を向上させることが急務であり、そのポイントのうちの一つが再来店率向上です。
リピーターが来店しなくなる理由について
顧客が飲食店をリピートすることに理由がある一方、リピートしなくなる理由もあります。
「何度か来てくれていたのに、いつの間にか来なくなってしまった」という場合にもいくつかパターンがあります。
店側の変化
料理のメニューや価格帯の変化:
リピーター(常連客)は特定の料理やメニューを好んで注文することがあります。突然メニューが変わり、お気に入りの料理がメニューから無くなったり、価格が急激に上昇したりすると、リピート率が低下することがあります。
競合他社との比較:
近くの他の飲食店が同様の料理やサービスを提供している場合、リピーターは新しい選択肢を探すことがあります。競合との差別化が重要です。
不愉快な経験や不満:
最初は満足していたものの、店長やスタッフが変わったり、不愉快な経験(サービスに満足できなかった、不快な接客、品質の低い料理など)が、違和感となって、離反する場合もあります。
お客様側の変化
個人的な理由:
転居や経済的事情、健康上の都合などによってリピーターが来店しなくなることもあります。このようなお客さんの個人的な理由の場合、飲食店側ではコントロールすることはできませんので、仕方ない部分が大きいです。
新鮮さや斬新さの欠如:
飲食店が変化やアップデートを欠いている場合、リピーターは新鮮さを求めて他の店を試すことがあります。変えすぎても離反になる可能性もありますが、マンネリもよくないので、適度なアップデートが必要です。
ここまで具体的な理由を述べてきましたが、お客様が再来店しない理由の第一位は、実はこのように具体的な理由があるというわけではないという調査結果がありました。
再来店しない理由のトップは・・・
ある調査のとても面白いデータを見つけました。
一度の来店で終わってしまったお客様が何故、再来店しないのか?の理由について、ある会社が調査した結果です。
再来店しない理由のトップは・・・・「なんとなく」という理由だそうです。
ズッコケてしまうような結果ですが、これが現実です。
再来店してもらえてないのは、お店に対して何か明確な不満があるわけではなく、「なんとなく忘れていた。」「なんとなく頭に思い浮かばなかった」からなのです。
上記のことから、お客さんが「リピートしなくなる」本当の理由を見つけるのは決して簡単ではありません。
理由に心当たりがある場合、その要因を取り除くことが重要です。
ここまでお読み頂いたら、なんとなくリピートしてくれたら良いなぁと考えてるだけでは難しく、リピートしてもらうための仕組みや戦略が大事になってくると感じていただけるのではないでしょうか?
飲食店がリピーターを増やす7つの方法
ここからは飲食店がリピーター(常連客)を増やすにあたって実行したい施策について紹介していきます。
いずれの飲食店にも当てはまる施策内容としては、以下の方法が想定されます。
1. 心地よい接客
接客の品質はリピートしてもらえるかどうかを左右する大切な要因です。「あの店員さんがいるから。あそこの接客を受けると元気がもらえるから通っている」というようなお客様がいることも想像に難くないでしょう。
必ずしも友達のように仲良くなる必要はありません。お店のコンセプトやターゲット層に合わせて、お店やスタッフの魅力を伝える接客を徹底しましょう。
2. 美味しい料理を提供する
あえて書くかどうか悩みましたが、ある調査によると、リピートする理由は「料理がおいしいから」と回答した人が69.6%でした。
リピート率を左右する要因は多数ありますが、やはり味が基本です。
ただ、最近はこの情報化社会では、美味しくない店は淘汰されて、どこの店舗も一定以上のクオリティがあるので、素人の舌ではそれ以上の差を感じにくい難しい時代になってきているのも現実です。
3. コスパをよくする
コストパフォーマンスも大切なポイントです。先ほどと同じ調査によると、リピートする理由で「料理がおいしい」の次に重視されているのがコストパフォーマンスでした。
実に48.6%が「コストパフォーマンス」を理由に再来店しているとのことです。
これも昨今の物価高騰による仕入れ価格の向上や人件費高騰でなかなか難しくなってきて頭を悩ましている経営者も多いのではないでしょうか?
4. 男性客がリピーターになりやすい
男女別で比べると男性の方がリピーターになりやすいことが、同調査により明らかになっています。
頻度のみならず平均外食回数も男性の方が多いです。
売上を安定的に伸ばしたい場合は、男性をターゲットにするのが効率的で良いでしょう。
反対に、女性は「色んなお店に行きたい」という心理からか、調査結果のリピート率は低いです。
女性客をターゲットにしているような飲食店の場合は新規客を増やす施策に注力すると来店数増加につながると言えます。
5. クーポン・チケットやスタンプカードを配布
次回に使えるクーポンや、リピーターだけの限定クーポンを配布するといった手法がよく使われています。
他にもスタンプカードやポイントカードなどリピート来店を確率を上げる方法と言えるでしょう。
「紹介割」などのキャンペーンはリピートを促すと同時に新規客も集客できる一挙両得の手法です。
クーポンやチケットのキャンペーンは新規客・リピート客のどちらをターゲットにしてるのかを明確に意識しながら施策を打つと効果を最大化できるでしょう。
6. 飽きさせない工夫
メニューに工夫をしたり、季節に合わせた店内装飾をしたり、キャンペーンやイベントを定期的に開催したり、飽きさせない工夫・飽きられない工夫を取り入れましょう。
接客にも通ずるところがあるかも知れませんが、スタッフにまた会いたいと思ってもらえるのも重要です。
7. 繋がりを持つ(SNS < CRM)
X(Twitter)やInstagram・Facebook、 TikTokやYouTubeなど、各種SNSでフォロワーになってもらい、定期的に情報発信してみてください。
繋がりという意味ではLINE公式アカウントは開封率も高い(リーチ力が強い)のでオススメの情報発信ツールと言えます。
限定情報でリピート来店を促進したり、店舗の独自コンテンツを発信して「お店のファン」になってもらうことも不可能ではありません。
また次回以降に詳細は書きたいと思いますが、フォロワーになってもらう=繋がりを持つというが第一ステップで、その次のステップとしては、CRM(Customer Relationship Management(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の略で、日本語では「顧客関係管理」)という取り組みが利益を最大化する上では重要になってきます。
まとめ
飲食店にリピートする顧客の多くが「料理がおいしい」「コスパが良い」といった理由で来店していることが分かりましたが、飲食店の営業形態によってリピーター客のニーズは異なります。
したがって、飲食店経営者は、自店舗のお客様がどのようなニーズを持っているかを把握した上で、必要な施策を展開していくことが重要です。まずは、思い切ってリピーター客に「うちのお店に何度も来てくれる理由は何?」と質問をしてみるのが良いかもしれません。ヒントが掴めるかもしれません。
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特に今回はコラムのテーマであるリピーター(常連)獲得は、これからの飲食店にとってはDXの一丁目一番地と言えるでしょう。
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